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2005.03.31

モノノハナシ−01 エンボッサー

年に何度か封書の手紙を出す時がある。直筆の手紙を書くというのは確かに時間を要する。いってみればスローライフの一つの形態と言えよう。あるいは、とてもアナログな行為とも言えるかもしれない。けれども「誰に宛てて出すのか」「どんなツールを使うか」に喜びを見いだせる時、"筆無精"なる無粋きわまりないカテゴリーを脱却するのは意外と容易くなったりもするのである。

私が手紙を書く時にこだわりたいのは、まず用箋だ。インクジェットプリンター対応の用箋で大人数にまとめて案内状等を送付することもあるが、ペンつまりは万年筆あるいは万年筆タイプのインクペンで書くのが良い。インクペンは安価だが、ボールペンなどと比べると「味」の違いは一目瞭然である。そして、そのインクペンを受けとめる用箋はコットンぺーバーに限る。メーカーでいえばクレイン社のものが良い。

コットンペーパーは、まずその質感においてパルプ紙を遙かに凌ぐ。クレイン社(他社の物もたいていそうなのだが)のペーパーには独特の透かしロゴが入っていて、それはそれは美意識をくすぐる設えになっている。そして特筆すべきインクとの相性の良さ。望むならクレインのレターセットの独特のサイズをプリンタの特殊用紙として設定してやれば、手書きのみならず印刷にも対応する。私も自筆ですべて書く時もあるのだが、推敲を重ねていく時や、思考しながらタイピングすることに慣れてしまっていて、本文はプリンタで印刷ということもある。しかし、署名だけは−−当たり前だが−−ペンで行う。そしてこの署名に一工夫するというのが、このエントリのそもそもの本題なのである。

IMG_4190工夫とは何をするのか。パーソナルエンボッサーを使うのである。アメリカ製の刻印器とでもいえばよろしいか。かの国では公式の認印として書類を完成させる道具なのである。日本でいえば角印丸印で会社の書類が公式のものとなるのに喩えられようか。

パーソナルと名付けられているように刻印される内容は二つと同じ物がない。なぜなら注文して作る印のように、ダイホルダーと呼ばれる部分は一つ一つがオリジナルなのである。これを署名した上に重ねて刻印を施すと、何ともはや格調高い雰囲気が醸し出されるのである。私がエンボッサーを使い始めたのは'90年代後半からなのだが、まず壊れることはなく一生モノと言えるだろう。ゆえに刻印する文句の選考には慎重になった。私は円形のダイホルダーの外周には英文字36字まで、円内には英字3文字の文句をレイアウトできるタイプを選んだ。内円にはイニシャル。そして外周には賢王ソロモンの箴言「鉄はまさしく鉄によって研がれる。ひとりの人が他の人の顔を研ぐ」(要するに切磋琢磨の意)から前半部分を借用。"BY IRON,IRON ITSELF IS SHARPEND."とレイアウトしている。


IMG_5323チェロの旋律を低く流し、グラスに注いだシングルモルトを愉しみながら、友人を気遣い近況を報告し謝辞を綴る。デスクライトの柔らかな白熱の光に照らされたコットンペーパーの上を滑るインクペンの摩擦音が心地よい。ブルーブラックのインキが紙面に吸い取られ、少し浮き上がるように文字が定着する刹那の不思議。長々と書き連ねる必要など無い。用箋一葉にほどよく文字を埋める。そして署名、刻印、封を施す。蝋で封印? それも良いが、やりすぎは野暮になるからセンス良く。

手紙を書く時間。「誰に宛てて出すのか」「どんなツールを使うか」に喜びを見いだせる時、それは暫しの幸福な時間となる。

@Yoozigen



エンボッサー イニシャル・丸


エンボッサー 名前・住所

キャラクター付き エンボッサー (ミッキー、プー、スティッチetc)


↑エンボッサーを扱っているお店

クレイン社のペーパーはこちら

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